武藤氏は経済協力開発機構(OECD)の統計から、日本は医師一人当たりの年間退院患者数が少ないことなどを指摘し、その原因として、▽外来の負担が大きい▽医師の労働が未分化で、他職種ができる仕事をしている▽他職種(看護職その他)の病床当たりの人数が少ない―の3点を挙げた。その上で、ある外科医を例に、医師の仕事について、院内での診療や臨床研修医の指導、院外では学会発表、研究会の世話などがあるほか、「ペーパーワーク」が多過ぎると指摘。大腸がんの手術で2週間入院した患者にかかる時間約700分のうち、書類作成やカルテ記載など、医師事務作業補助者に頼める仕事が約36%(248分)あったという。
また武藤氏は、病院での外来業務に関する医師と医療関係職種の役割分担について、「医師事務作業補助体制加算」を届け出ている都内の病院に調査した結果を紹介。
それによると、「処置伝票の記載・入力」は「医師」の97.0%だったほか、「看護師」の48.5%、「事務職員」の21.2%で、看護師による代行入力も多かった。処置伝票以外にも検査伝票の記載や、次回診療の予約なども看護師の代行が多く、これらの業務について「医師事務作業補助者に委譲すべき」としている。
「医師事務作業補助体制加算」(入院初日)は2010年度の診療報酬改定で、「15対1補助体制加算」(810点)と「20対1補助体制加算」(610点)の2区分が追加され、6区分になる。現行の4区分も、それぞれ点数が引き上げられる。
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